コロナのどさくさに紛れて、5月の末に年金に関する法律改正が国会で成立し、6月に公布されています。
この改正のメインは、会社で働くパート従業員の社会保険加入に関することです。
現在、パート従業員で社会保険に加入している人は、その会社の正社員の労働時間および労働日数の3/4以上で働いている人です。
例えば、正社員の勤務が週に40時間、月に20日勤務だとすると、1週間30時間かつ月15日勤務以上勤務しているパート従業員が対象です。
しかし4年前の平成28年10月から、下記の要件を満たすパート従業員は、社会保険に加入となりました。
✓ 週の所定労働時間が20時間以上あること
✓ 賃金の月額が88,000円以上であること
✓ 学生でないこと
✓ 従業員数500人を超える会社に勤務している
ここでいう「従業員数500人を超える」従業員とは、社会保険に加入すべき従業員の数のみを指します。
社会保険加入の対象とはならない短時間労働者(週の労働時間および月の労働日数が、フルタイム労働者の4分の3未満の者)は数に含めません。
2年後の令和4年10月から、この従業員数「500人を超える」が「100人を超える」に変わります。
対象者の範囲が広がるのです。
今までと同じ働き方をしていても、社会保険加入の対象となり、扶養から外れることになるのです。
さらに、4年後の令和6年10月には従業員数「100人を超える」が「50人を超える」に変わります。
最終的には50人以下の会社も対象になるかもしれません。
「社会保険加入の対象になっても、年収130万円までなら扶養の範囲内では?」
こういう相談をよくいただきますが、自分が社会保険に加入したら、収入に関係なく扶養から外れます。
今まで、「扶養内での働き方」をしていた方は、これから働き方を再考する必要が出てきます。
扶養を外れると、自分自身が厚生年金と健康保険に加入するので、毎月保険料の負担が生じます。
「それは困る!」
という場合は、勤務時間を減らす(週20時間未満)か、従業員規模の小さい会社に転職するという手段を選ぶ必要がありますね。
「勤務時間減らすと、収入が減るからもっと困る!」
のなら、勤務時間を増やし、保険料負担分を稼ぎ、手取りを減らさないようにするしかありません。
もしくは、短時間のパートを掛け持ちするか(合計収入は130万円におさえて)。
収入アップか支出ダウンか、どちらを優先するのか。
パートであっても自分のキャリア・働き方を見直す良い機会だと思います。
ご夫婦の場合、夫が社会保険に加入し、妻がパートで扶養の範囲で働くというパターンも多いのですが、この法改正が進むことにより、夫婦ともに社会保険に加入する世帯が増えます。
保険料がもったいないと感じる気持ちもわかりますが、メリットもあります。
・将来の年金額が増える
・病気やケガで仕事を休んでも、健康保険から給付が出る
しかし、私はこれらよりも大きいメリットがあると思うのです。
・夫が失業した時に、夫を妻の扶養に入れることができる
これでしょう!
夫が定年まで、またそれ以降も確実に働けるという保証はありません(妻もしかり)。
お互いが社会保険に加入することで、お互いを保障しあう意味でも「保険」になると思うのですが。
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