ブログ

不妊治療の保険適用化は少子化対策になるの?

菅総理が打ち出して話題になっている政策に、「不妊治療の保険適用化」という少子化対策があります。
ニュースで知ったときは、「へぇ、そうなんだ」と思いましたが、不妊治療に関わらず、様々な治療が保険適用になったり保険適用外になったりしています。
昨年、健康保険組合連合会が花粉症治療薬の一部を保険適用外に、という提言を発表し、話題になりました。

人それぞれの体の具合、持病、経済状況などがあり、お怒りになる方もいるかもしれませんが、私の考えを書いてみたいと思います。
私は医師でも看護師でもなく、専門知識などありません。
ただ、社労士として、健康保険制度には常に関わっています。
入社された従業員の健康保険加入手続きや、給与計算では給与から控除する健康保険料も計算し、毎月貴重な給与から安くない保険料が引かれる状況を目の当たりにしています。
また、会社負担の保険料も重い。

今まで不妊治療が保険適用にならなかったのは、正常な妊娠・出産が病気ではないとされているからだと思います。
妊娠中の定期健診や分娩は保険は使えず、すべて自費です。
なので、分娩費用の助成として、健康保険からは出産育児一時金(現在は42万円)というお金で支えています。
現在の不妊治療も保険ではなく、費用の助成で支えられています。
したがって、不妊を病気ととらえることにして、保険を適用することには賛成です。
これによって、妊娠可能な方が望む妊娠を叶えられるのなら素晴らしいことです。

しかし不妊治療を保険適用とする場合、年齢制限は設けないのでしょうか。
現在の不妊治療助成では、妻(女性ではない!)の年齢を43歳未満としています。男性に年齢制限は設けないの?
年齢制限を設けることについては、私個人の意見としては必要かなと。
でないと、70歳でも80歳でも、望めば保険で不妊治療が可能になってしまう。
もちろん、治療を否定はしません。個人の自由です。
みんなが出し合っている保険料を使うかどうかは別物です。
男女ともに70歳80歳での不妊治療が必要最低限のものなのか、ということです。

もともと不妊ではない人でも高齢化とともに妊娠しづらくなるのは当然です。
加齢が不妊原因のすべてではないですが。
しかし妊娠がゴールではないですよね。
その後、妊娠中~出産時の母体リスク、出産後は育てていく体力経済力等・・・。

比較的出産しやすくリスクも少ない若い女性が結婚をしないという問題を解決しないと、少子化対策なんて期待できません。
「本当は結婚もしたいし、子供も欲しい。でも今の仕事が楽しいし、妊娠出産で1~2年のブランクを作ったら、今まで頑張ってきたキャリアを失うことになる」
これなんですよね。若い人がキャリアと子供を天秤にかけてキャリアを選んでいる。
結局、男と同じ働き方をしなければキャリアが積めないということなのです。
「多様性のある社会」とは逆行している。

ある程度キャリアを積んでから、やっと子供が欲しいと思えるようになった。でも年齢が原因で妊娠しづらく、経済的にも精神的にも肉体的にも難しい。
このような結果が納得できるものになるよう、もっと若い時に学習の機会があれば、と願わずにはいられません。

男と女では体の構造が違うし、妊娠出産するのは女しかできないのだから、同じようには働けない。
医学や社会が進んでも、人間の体はそう変わらない。
だからこそ、同じように働けなくても同じようにキャリアが詰める社会(会社)にしないと少子化は進むばかりです。

これからは男女共働きの社会です。
これが当たり前という世代が増えてきて、そういう世代が社会の中心になってくれないと、なかなか変化は難しいと思います。
きれいごとを言いながら、自分に都合の良い価値観を変えられない人が減っていかないと(私も相当ヤバいですが)。

関連記事

  1. 彼女たちの不安が希望に変わるような社会に
  2. 小泉環境大臣の育休について思うこと
  3. 育休知らない人
  4. 役所に聞くか専門家に聞くか
  5. ハケンという働き方
  6. パート・アルバイトさんの有給
  7. 賢く、したたかに、しなやかに生き抜いてやる
  8. コロナ騒ぎで役員の株をあげる?

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

PAGE TOP