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役所に聞くか専門家に聞くか

8月23日に社労士試験がありました。年に一度の試験です。
ここ最近は、昨年を除きずっと試験監督者としてかかわっています。

今年はコロナ禍で例年とは違う試験風景となりました。
受験者は会場前で検温、受験席は間隔をあけて作られているので、とてもまばら。試験会場内では原則マスク着用のルール。
感染防止の観点から受験を控えた方が多かったのか、私の担当した部屋は出席者は約65%。まばらな受験者がさらにまばら。
とにかく、受験生の皆様さん、お疲れ様でした。

思えば今年になってから、毎日の報道もコロナ関連の話題がない日はなく、休業・解雇・助成金、各種保険制度のコロナ特例など、社労士が関わる事柄が多く、悪い頭をグルグル回して最新情報を必死に追いかけていました。

そして、年金・医療保険・雇用についてもコロナに関係なく問題や不安はあり、国民の関心事に社労士が関わる事の多さを実感しています。

色んな方とお話していてよく聞くのが、
「誰に相談していいのか分からなかった」
という声。例えば、

『コロナで休業しないといけないが、どうすればよいのか』

相談先としては、専門家は社労士、役所は労働基準監督署といったところでしょうか。しかし、そんなの知らない人が多いですよね。
私だって専門外のことはチンプンカンプン。知らずに時間や手間をかけている事も多いと思います。

役所に聞けば無料だけど「うちは違う」とたらい回しにされそう、専門家に聞くとお金かかりそうだからこわい、とも言われます。わかります。
お金はタダですのでお気軽に!とは言えません。専門家ごとに違います。
初回相談は無料とか、最初から有料とか、内容によるとか。

それで、どういう時に専門家に相談し、どういう時に役所に相談すればいいのか、私なりに考えてみました。

専門家に聞くのが向いているのは、「えらいこっちゃ、どうしよう」という感情的な部分からの相談かと思うのです。
まずは不安の中身を聞いて、取れる手段を提案し、使える制度も提案し、社労士では扱えない部分については、担当する役所や本来の専門家を紹介できます。
そしたら行動すべき全体像がわかり、不安がやわらぐはずです。たらい回しにもされません。

先ほどの質問だと、休業による問題は、従業員の問題やお金の問題があり、従業員を休ませるにしても給料を支給しないといけないとか、じゃあいくら払うのかとか、運転資金は融資が必要なのかとか。
使える制度は、人件費についてはこいう助成金がある、運転資金についてはこんな特別融資があったり、こういう補助金があったり、これは税理士さんが詳しいとか。

役所に聞くのが向いているのは、上記の段階あたりまでわかっていて、相談内容が具体的な場合かなと思います。
当社はこの助成金使えますか?とかこの融資を受ける条件は?とか。

役所の相談窓口で、来所者が怒っているのをよく見かけます。
あれは不安の状態を解決したくて役所に行っているのだが、役所への質問事項が抽象的なので解決できずに(というか怒って)帰るというパターンなのかなと思います。

役所は基本的に質問内容に答えるところです。
どうしたら良いのか、何をすべきなのかがあやふやな段階で相談に行っても、役所としては
「何をどうしたいのかわからない」
ということになるのです。

「そんなこともわからないのか!」
と怒っている来所者も見かけますが、その役所の担当業務以外のことはわからないし、無責任に他の役所がやってる制度を説明するわけにはいきません(もし間違ってたら責任とれませんから)。
我々が思っている以上に各役所の業務範囲は狭く、範囲外のことは答えられない(答えたらアカン)のです。
もちろん、役所の肩を持つつもりはありません。
「お前、言い方考えろ」とか「理解悪いな」とか思うこともありますし。

そういうわけで、専門家は皆さんに、
『我々は〇〇の専門家です。』
と専門内容を広く知ってもらうことが大切だと思います。
認知されれば、「これは社労士に相談だな」と動いてもらえるのですが。
呼び方を社労士と省略しているから分かりづらいのもあるのかな。
社会保険労務士でもまだ分かりづらい?

社会保険と(従業員の)労務管理の専門家
  ↓
社会保険(年金・健康保険・雇用保険・労災保険など)
労務管理(会社のルール・従業員を雇う上での問題)とそれに関わる助成金

いくつもの専門家が専門分野で縄張り争いしていて不便とおっしゃる声もあるとかないとか・・・。そんなに不便ですかね。
普通、専門家は専門以外のことに責任もてないので、安易に答えたり手続きしたりはしません。
何でも知っていて、なおかつ責任取ってくれる人がいれば良いのですがね。

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